章の説明: 本章名は,第10節に「天が明瞭な煙霧を起す日まで」とあるのにちなみ,名づけられ,早魃,飢饉について記される。ハー・ミーム群の第5番目の章で,世俗的な誇りや力は,精神的な背景がなければ,塵のような取りに足りないもので,善と恵とがどんな結果になるかが説かれる。 慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。 1. ハー・ミーム。 2. (事物を)明瞭にする,この啓典にかけて(誓う)。 3. 本当にわれは,祝福された夜,これを下して,(悪に対して不断に)警告を与え(ようとす)るものであろ。 4. その(夜)には,英知に就いて凡ての事が明確にされる。 5. わが許からの命令である。本当にわれが何時も使徒を)遣わすのは, 6. あなたの主からの慈悲である。本当にかれは,全聴にして全知であられ, 7. 天と地,そしてその間の凡てのものの主である。もしあなたがた(の信仰)が確かならば。 8. かれの外に神はなく,生を授け死を授けられる。あなたがたの主,またあなたがたの祖先の主であられる。 9. それなのにかれらは疑って,戯れている。 10. 待っていなさい,天が明瞭な煙霧を起す日まで。 11. (それは)人びとを包む。(かれらは言う)。「これは痛ましい懲罰です。」 12. 「主よ,わたしたちからこの懲罰を免じて下さい。本当に信仰いたします。」 13. どうして(再び)かれらに訓示があろう。かれらには公明な使徒が確かに来たのに, 14. かれらはかれ(使徒)から背き去って,「他人に入れ智恵された者,(ほ?)かれた者です。」と言ったではないか。 15. われが暫くの間,懲罰を解除すると,あなたがたは必ず(不信心に)戻る。 16. われが猛襲する(審判の)日,本当にわれは,(厳正に)報復する。 17. かれら以前にも,われはフィルアウンの民を試みた。その時かれらに尊い使徒(ムーサー)が来て, 18. (言った。)「アッラーのしもべたち(イスラエルの子孫)を,わたしに返しなさい。本当にわたしは,あなたがたの許にやって来た誠実な使徒です。 19. アッラーに対して,高慢であってはなりません。本当にわたしは明白な権威をもって,あなたがたの所にやって来たのです。 20. あなたがたが(わたしを)石撃ちにするなら,わたしそしてあなたがたの主でもある御方に,救いを求めます。 21. もしあなたがたが,わたしを信じないならば,わたしには構わないでください。」 22. そこで,かれは主に祈っ(て言っ)た。「これらは罪深い人びとです。」 23. (主の御答えがあった。)「あなたは夜の中に,わがしもべと共に旅立て。必ずあなたがたに追っ手がかかろう。 24. そして海は(渡った後)分けたままにして置け。本当にかれらは,溺れてしまうことであろう。」 25. かれらは,如何に多くの園と泉を残したか。 26. また(豊かな)穀物の畑と,幸福な住まいを, 27. またかれらがそこで享楽していた良い物を(残したか。) 28. (かれらの最後は)こうであった。そしてわれは,外の民に(それらを)継がせた。 29. かれらのために,天も地も泣かず,かれらに猶予も与えられなかった。 30. われは,イスラエルの子孫を屈辱の懲罰から救い, 31. フィルアウンから(救い出した)。本当にかれは,高慢で無法者であった。 32. われは思うところにより,かれらを諸民族の上に選んだ。 33. そして明白な試練を含む,数々の印を与えた。 34. さてこれら(マッカの偶像信者)は(愚かにも)言う。 35. 「わたしたちは最初死ねば(2度と)起こされない。 36. もしあなたがた(の言葉)が真実なら,わたしたちの祖先を連れ戻してみなさい。」 37. かれら(マッカの偶像信者)はトッバウの民か,またそれ以前の者たちより優れているのか。われはかれら(諸民族)を滅ぼしたのである。本当にかれらは罪を犯した者であった。 38. われは天と地,そしてその間にある凡てのものを,戯れに創ったのではない。 39. われは,天地とその間の凡てのものを,只真理のために創った。だが,かれらの多くは理解しない。 40. 本当に(善悪の)選別の日は,凡てのものに定められた日である。 41. その日,友はその友のために何も役立てず,またかれらは援助も得られない。 42. だがアッラーの御慈悲を被むった者たちは別である。本当にかれは偉力ならびなく慈悲深くあられる。 43. 本当にアッ・ザックームの木こそは, 44. 罪ある者の糧である。 45. それは溶けた銅のように内臓の中で沸騰しよう, 46. 熱湯が滾りかえるように。 47. (声がして言われよう。)「かれを捕えよ,燃えさかる炎の只中に,引きずり込め。 48. それから,かれの頭の上に沸騰する湯の痛苦を浴びせよ。 49. あなたは(これを)味わうがいい。本当にあなたは,力のある尊貴な者であった。 50. これこそあなたがたが,疑っていたものである。」 51. 本当に,主を畏れた者は,安泰な所にいる。 52. 園と泉の間に, 53. 絹や錦を纒い,互いに向かい合って, 54. このようにわれは,輝いた大きい目の乙女たちをかれらの配偶者にするであろう。 55. かれらはそこで平安に,凡ての果実を求められ, 56. 最初の死の外に,そこで(再び)死を味わうことはなく,燃える炎の責め苦から守護されよう。 57. あなたの主からの賜物,それこそは至福の成就であろ。 58. われはこの(クルアーン)を,あなたの言葉(アラビア語)で(下し)分りやすくした。かれらは,理解し諭されるかもしれない。 59. だからしばらく待って様子を見なさい。本当にかれらの方も様子を伺っているのだから。
日本ムスリム情報事務所, 1998-2003. | ||||||||||||||||||||