章の説明: 本章名は,冒頭の略語にちなんで名付けられる。マッカの初期の啓示である。本章に続く7章は,とくに啓示と来世に関して記される。本章では,邪悪な者の特徴と運命について注意が促がされ,やがておおいを取除くように(第22節),それはぬぐい去られることが教えられる。 慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。 1. カーフ。栄光に満ちたクルアーンによって誓う。 2. いや,かれらは自分たちの間から一人の警告者が現われたことに驚き,そこで不信心な者たちは言う。「これは全く不思議なことである。 3. わたしたちが死んで塵になって(また甦るの)か。それは(理解出来ない)とんでもない甦りである。」 4. われは大地が,かれらを如何に蝕み去るかを知っている。またわが手許には,(凡ゆる始終の)記録の帳簿がある。 5. 真理が訪れた時,それを虚偽としたので,かれらは混乱状態に陥った。 6. かれらは頭上の天を見ないのか。われが如何にそれを創造し,如何にそれを飾ったか。そしてそれには,少しの傷もないと言うのに。 7. また,われは大地をうち広げ,その上に山々を据え,様々の種類の美しい(草木)を,生い茂らせる。 8. (それらは)悔悟して(主の御許に)返る凡てのしもべが,よく観察すべきことであり,教訓である。 9. われはまた,祝福する雨を天から降らせて,果樹園や収穫の穀物を豊かに生長させる。 10. びっしりと実を付けた丈の高いナツメヤシの木は, 11. (アッラーの)しもべたちの食料。またそれ(雨)でわれは死んだ大地を甦らせる。呼出し(復活)にしても同じようなこと。 12. かれら以前も,(使徒を)嘘tき呼ばわりした者があった。ヌーフの民も,ラッスの仲間もサムードも, 13. またアードの民も,フィルアウンも,ルートの同胞も, 14. また森の仲間またトッバウの民も皆使徒を嘘付き呼ばわりした。だから(われの)警告は確実に実現されてしまった。 15. 最初の創造のために,われが疲れたというのか。いや,かれらは新しい創造に就いて疑いを抱いている。 16. 本当にわれは人間を創った。そしてその魂が囁くことも知っている。われは(人間の)脛動脈よりも人間に近いのである。 17. 見よ,右側にまた左側に坐って,2人の(守護の天使の)監視者が監視する。 18. かれがまだ一言も言わないのに,かれの傍の看守は(記録の)準備を整えている。 19. そして実際に死の昏睡が訪れる。これはあなたが避けてきたもの。 20. そしてラッパが吹かれる。これはあの約束された日である。 21. そして各々の魂は,追手と証言者に伴われて来る。そして各々の魂は,(羊の群を追い立てるように)追手(の天使)一人と(現世の諸行を証言するための)証言(の天使)一人に伴われてやって来る。 22. (その時,言われよう。)「あなたは,この(審判の日)に就いて実際注意しなかった。われは今,あなたから覆を取り除く。今日は,あなたの視覚は鋭敏である。」 23. かれの同伴の仲間は言う。「これが,わたしの準備したものです。」 24. (その時主は仰せられよう。)「あなたがた両名,反逆した頑迷な者を凡て,地獄に投げ込め。 25. 正しい道を妨げた者,掟を破った者,(真理に)疑いを抱いた者, 26. アッラーと同位に外の神を立てた者,あなたがた両名は,これらを厳しい懲罰の中に投げ込め。」 27. かれの仲間は言う。「主よ,わたしがかれを背かせたのではありません。かれが(自ら)遠く迷い込んでしまったのです。」 28. かれは仰せられよう。「われの前で議論してはならない。われは即にあなたがたに警告したのである。 29. われは言ったことを変えることはない。またわれのしもべたちに対し,決して不正ではないのである。」 30. その日われが地獄に,「満員になったか。」と問うと,「なお多くの(入る)者がおりますか。」と答える。 31. 主を畏れる者には,楽園が近づいてくる。直ぐ近くに。 32. これは悔悟して常に(アッラーに)帰り(主の掟を)守る凡ての者のために約束されていたものであり, 33. 目に見えない慈悲深き御方を畏れ,心の底から悔悟して(主に)帰った者たちのため(のものである)。 34. 「安んじてそれに入れ。これは永遠の日である。」 35. かれらのためにはそこに,欲しいものは何でもあり,またわが許からもっと追加があろう。 36. われはかれら以前に,如何に多くの世代を滅ぼしたことか。かれらは,これら(マッカの多神教徒)よりも力においてもっと勇猛であったではないか。それでかれらは諸都市を巡り歩いたが,何処に避難所があろうか。 37. 本当にこの中には心ある者,また耳を傾ける者,注視する者への教訓がある。 38. われは天と地,またその間にある凡てのものを6日の間に創造した。しかしわれは少しの疲れも感じることはなかった。 39. それであなたはかれらの言うことを忍び,主の栄光を誉め讃えなさい。太陽が登る前と沈む前に。 40. また夜も,かれを讃えて唱念しなさい,また礼拝の終りにも。 41. 耳を傾けなさい。召集者が直ぐ近い所から呼ぶ日に(備えて)。 42. その日,かれらは真実の一声を聞こう。それは(墓場から)出て行く日である。 43. 本当にわれは生を授け,また死を与える。われに(凡てのものの)帰着所がある。 44. その日,大地はかれら(の所)から裂け,かれらは急いで出て行く。これこそが召集で,われにとっては容易な業である。 45. われはかれらの言うことを良く承知している。あなたはかれらに強制してはならない。わが警告を恐れる者たちに,クルアーンによって訓戒しなさい。
日本ムスリム情報事務所, 1998-2003. | ||||||||||||||||||||