章の説明: 本章は4節の,戦列を組んでアッラーの道のために戦う句にちなみ戦列章と名付けられる。オホドの役後,ヒジュラ3年ころの啓示とされる。本章は57章に始まる。短編のマディーナ啓示の第5番目の章で,イスラーム共同体の防衛のためには,訓練と自分を捧げる奉仕の精神が必要であることが説かれる 慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。 1. 天にあり地にある凡ての有は,アッラーを讃える。本当にかれは偉力ならびなく英明であられる。 2. 信仰する者よ,あなたがたはどうして(自ら)行わないことを口にするのか。 3. あなたがたが行わないことを口にするのは,アッラーが最も憎まれるところである。 4. 本当にアッラーの御好みになられる者は,堅田な建造物のように,戦列を組んでかれの道のために戦う者たちである。 5. ムーサーがかれの人びとに言った時を思い起せ。「人びとよ,どうしてあなたがたはわたしを苦しめるのか。わたしが,あなたがたに(遣わされた)アッラーの使徒であることを,知っているではないか。」それでかれらが常規を踏みはずした時,アッラーはかれらの心を曲げられた。本当にアッラーは,(アッラーの)掟に背く者を御導きになられない。 6. マルヤムの子イーサーが,こう言った時を思い起せ。「イスラエルの子孫たちよ,本当にわたしは,あなたがたに(遣わされた)アッラーの使徒で,わたしより以前に,(下されている)律法を確証し,またわたしの後に来る使徒の吉報を与える。その名前は,アハマドである。」だがかれが明証をもって現れた時,かれらは,「これは明らかに魔術である。」と言った。 7. イスラームに招かれていながら,アッラーに就いて虚偽を捏造する者以上に悪を行う者があろうか。アッラーは不義を行う民を御導きになられない。 8. かれらはアッラーの御光を,口先で消そうと望んでいる。だがアッラーは例え不信心者たちが忌み嫌おうとも御自分の光(イスラーム)を現わした。 9. かれこそは,導きと真実の宗教を持たせて,御自分の使徒を遺わされた方で,例え多神教徒たちが忌み嫌おうとも,それ(イスラーム)を凡ての宗教の上に高く掲げさせられる。 10. あなたがた信仰する者よ,われは痛苦の懲罰から救われる一つの取引を,あなたがたに示そう。 11. それはあなたがたがアッラーとその使徒を信じ,あなたがたの財産と生命をもってアッラーの道に奮闘努力することである。もし分るならば,それはあなたがたのために最も善い。 12. かれはあなたがたの様々な罪は赦して,川が(木々の)下を流れる楽園に入らせ,アドン(エデン)の楽園における美しい邸宅に住まわせる。それは至福の成就である。 13. またあなたがたが好む,外(の恩恵)を与えられる。アッラーの御助けと,速かな勝利である。だからこの吉報を信者たちに伝えなさい。 14. 信仰する者よ,あなたがたはアッラーの助力者になれ。マルヤムの子イーサーが,その弟子たちに次のように言った。「アッラーの(道の)ために,誰がわたしの助力者であるのか。」弟子たちは(答えて),「わたしたちがアッラーの助力者です。」と言った。そのさいイスラエルの子孫たちの一団は信仰し,一団は背を向けた。それでわれは,信仰した者たちを助けて,かれらの敵に立ち向かわせた。こうしてかれらは勝利者となったのである。
日本ムスリム情報事務所, 1998-2003. | ||||||||||||||||||||