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クルアーンの索引

 

72. アル・ジン(幽精) 

章の説明:

本章名は,聖預言者の教えを,あるジンたちが信奉したことが記されるにちなみ名付けられる。この事件はヒジュラの2年前のことである。当時かれを保護してきた伯父のアブー・ターリブも愛妻のハディージャも死去し,マッカ市民の迫害は,激しさを増しもはや居住に耐え難くなって,信徒の第2次のアビシニア移住も,強行させねばならぬほどになり,かれはマッカから東方100キロの所にある,今日夏季の首都として有名なターイフに,布教の地を求めて赴いた。しかしそこでも非常な虐待を被り命からから脱出して,マッカヘ帰る途上で本章は啓示されたといわれる。すなわち無援の窮地に陥った時でも,目に見えぬ隅れた力,アッラーの加護がある示唆である。それから2ヶ月もたたぬ)ちに,アル・マディーナから数名の未知の者が来て,聖預言者に面会して聖遷〔ヒジュラ〕の基礎が確立され,アラビアの運命ならびに世界史を変える端緒となった。


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

1. 言え,「わたしにこう啓示された。一団のジンが(クルアーンを)聞いて言った。『わたしたちは,本当に驚くべき読誦を聞いた。

2. 正しい道への導きである。だからわたしたちは信仰し,主に何ものをも配さない。

3. 尊厳にしていと高き主の御威光よ,かれは妻を娶らず,子も持たれない。

4. わたしたちの中の愚かな者が,アッラーに対し途方もない嘘を話していた。

5. しかしわたしたちは,人間もジンも,アッラーに就いて嘘を言うべきではないと考えていた。

6. 本当に或る種の人間は,ジンの或る者に庇護を求める。しかしそれは,かれらの愚劣を助長した。

7. かれらもあなたがたが考えたように,アッラーは,何者も甦らされないだろうと考えていた。

8. わたしたちは,天(の秘密)に触れようとしたが,これは強い護衛の燃え輝く星(流星)で一杯であることが分った。

9. わたしたちは(盗み)聞くためにそこに坐っていた。だが聞き耳を立てる者には,警戒している燃え輝く星(流星)が待ち構えている。

10. わたしたちは,主が地上の者に対して悪を望まれているのか,または,かれらを正しい道に,導くことを望まれているのか知らなかった。

11. わたしたちの中には,正しい者もいるが,そうではない者もいて,様々な道に従っている。

12. だがわたしたちは,地上においてアッラーを出し抜くことは出来ないし,また逃避して,かれを失敗させることも出来ないと思っている。

13. わたしたちは導きを聴いて,直ぐそれを信仰した。そして主を信じる者には,恐れもなく,損うこともなく,また不正にあうこともない。

14. わたしたちの中には,(アッラーに)服従,帰依する者もあり,また正道から逸れる者もいる。服従,帰依した者は正しい道に志向を定める。

15. だが正道から逸れる者は火獄の薪となろう。』と。」

16. もしかれらが(正しい)道を守るならば,われは必ず豊かな雨(凡ての恩恵)をかれらに恵む。

17. われはそれによってかれらを試みよう。だが主を念うことから逸れる者は,厳しい懲罰に追いたてられることになる。

18. 本当にマスジドは(凡て)アッラーの有である。それでアッラーと同位に配して他の者に祈ってはならない。

19. アッラーのしもべ(ムハンマド)が,かれに祈るために立った時,かれら(マッカの多神教徒)はどっと押し寄せんばかりに,かれを取り巻いた。

20. 言ってやるがいい。「わたしは,一途にわが主に祈り,何もかれと同位に配さない。」

21. 言ってやるがいい。「わたしには,あなたがたを害したり,益したりする力はないのである。」

22. 言ってやるがいい。「誰もアッラーからわたしを守り切ることは出来ないし,またかれの外に,避難所を見い出すことも出来ない。

23. (わたしは)只アッラーからの御告げを,宣べ伝えるに過ぎない。それでアッラーとその使徒に従わない者,かれらには地獄の火があり,永遠にその中に住むであろう。」

24. かれらは,約束されたことを見る時になって,助力において誰が最も頼りにならないか,数においても誰が最も頼りにならないかを知るであろう。

25. 言ってやるがいい。「わたしは,あなたがたに約束されたことが近付いているのか,それともアッラーがもう少し期間を設けられたのかを知らない。

26. かれ(だけ)が幽玄界を知っておられ,その秘密を誰にも漏されはしない。

27. かれの御気に召した使徒以外には。それで,かれは,前からも後ろからも護衛して,(使徒を)赴かせられた。

28. それはかれらが,果して主の御告げを伝えたかどうかをかれが知られるためであり,またかれらの持つものを取り囲んで,凡てをそれぞれ計算に数え上げられるためである。

 

 

クルアーンの索引

日本ムスリム情報事務所, 1998-2003.