章の説明: 本章名に,1節の語にちなみ名付けられる。前章同様サラート(礼拝)とズィクル(唱念)の重要性, また精神的緊張のさいには忍耐が大切であることが教えられる。前章では,預言者自身の完成につき説かれた。だが本章では一般の者の先成のための警告に重点が置かれる。 慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。 1. (大衣に)包る者よ, 2. 立ち上って警告しなさい。 3. あなたの主を讃えなさい。 4. またあなたの衣を清潔に保ちなさい。 5. 不浄を避けなさい。 6. 見返りを期待して施してはならない。 7. あなたの主の(道の)ために,耐え忍びなさい。 8. ラッパが吹かれる時, 9. その日は苦難の日。 10. 不信者たちにとり,安らぎのない(日である)。 11. われが創った者を,われ一人に任せなさい。 12. われは,かれに豊かな富を授け, 13. またその回りに,息子たちを侍らせ, 14. かれのために,(物事を)円満容易にした。 15. それでもかれは,われが更に豊かにするよう欲した。 16. 断じて許されない。かれは,わが印に対し頑迷であった。 17. やがてわれは,酪い痛苦でかれを悩ますであろう。 18. かれは想を練り,策謀した。 19. かれは滅びるであろう。何と(惑意をもって)かれらは策謀したことよ。 20. 重ねていう。かれは滅びるであろう。何とかれは策謀したことよ。 21. その時,かれはちらっと(クルアーンを)眺め, 22. 眉をひそめ,苦い顔をして, 23. それから,高慢に背を向けて去った。 24. かれは言った。「これは昔からの魔術に過ぎません。 25. どうみても人間の言葉に過ぎません。」 26. やがてわれは地獄の火て,かれを焼くであろう。 27. 地獄の火が何であるかを,あなたに理解させるものは何か。 28. それは何ものも免れさせず,また何ものも残さない。 29. 人の皮膚を,黒く焦がす。 30. その上には19(の天使が看守る)。 31. われが業火の看守として,天使たちの外に誰も命じなかった。またかれらの数を限定したことは,不信心の者たちに対する一つの試みに過ぎない。(それにより)啓典を授けられた者たちを確信させ,また信じる者の信仰を深めるためである。また啓典を授けられた者や信者たちが,疑いを残さず,またその心に病の宿る者や,不信者たちに,「アッラーはこの比喩で,何を御望みになるのでしょうか。」と言わせるためである。このようにアッラーは,御自分の望みの者を迷わせ,また望みの者を導かれる。そしてかれの外誰もあなたの主の軍勢を知らないのである。本当にこれは人間に対する訓戒に外ならない。 32. いや,月に誓けて, 33. 退こうとする,夜に誓けて, 34. また輝こうとする,暁に誓けて(誓う)。 35. それは大きな(徴の)一つであり, 36. 人間への警告。 37. あなたがたの中,前に進むことを望む者,また後に残ることを願う者への(警告である)。 38. それぞれの魂は,その行ったことに対し,(アッラーに)担保を提供している。 39. 右手の仲間は別である。 40. (かれらは)楽園の中にいて,互いに尋ね合うであろう。 41. 罪を犯した者たちに就いて, 42. 「何が,あなたがたを烈火の中に導いたのですか。」と。 43. かれらは(答えて)言う。「わたしたちは礼拝を捧げていませんでした。 44. わたしたちはまた,貧者を養いませんでした。 45. わたしたちは空論の徒と共に無駄話に耽り, 46. 常に審判の日を否定していました。 47. 遂に真実が,わたしたちに到来しました。」 48. それで執り成す者の執り成しも,かれらに役立たないであろう。 49. 一体訓戒から背き去るとは,かれらはどうしたのであろう。 50. かれらは丁度獅子を見て恐怖に陥ったロバのように, 51. 一目散に逃げ出すかのようであった。 52. いや,かれらはそれぞれ開かれた書巻が授けられることを望んでいる。 53. いや断してそうではない。かれらは来世を恐れていないのである。 54. いや,これは正に訓戒である。 55. だから誰でも欲する者には,それを肝に銘じさせなさい。 56. だが,アッラーが望まれる者の外は,留意しないであろう。かれは畏るべき御方よく許して下される御方である。
日本ムスリム情報事務所, 1998-2003. | ||||||||||||||||||||