章の説明: 本章名は,第1節の語にちなみ名付けられる。最初期の啓示の一つである。自然と変化に富む人間の行路とを,対照することによって,理解ある者に対し,来世への信仰が力強く教えられる。人間の歴史や伝統などの教訓は,心の広いものは滅びず,高慢なものは低下されることを示す。道徳の向上や精神的真実を求める場合,歴史はとかく特殊な見地で書かれて伝説の方が優ることがある。人間は自分の好運の道に背いて,群がりがちである。心の中の世俗的すべてのとらわれが無くなったとき,初めて真の栄光と偉大な御力を知り,アッラーの至愛と限りなき善美を悟ることになろう。これこそ天国の園の光である。 慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。 1. 暁において, 2. 10夜において, 3. 偶数と奇数において, 4. 去り行く夜において(誓う)。 5. 本当にこの中には,分別ある者への誓いがあるではないか。 6. あなたはアッラーが,如何にアード(の民)を処分されたかを考えないのか, 7. 円柱の並び立つイラム(の都)のことを, 8. これに類するものは,その国において造られたことはなかったではないか。 9. また谷間の岩に彫り込んだサムード(の民)や, 10. 杭のぬしフィルアゥン(のことを考えないのか)。 11. これらは(凡て),その国において法を越えた者たちで, 12. その地に邪悪を増長させた。 13. それであなたの主は,懲罰の鞭をかれらに浴びせかけられた。 14. 本当にあなたの主は監視の塔におられる。 15. さて人ヤは主が御試みのため,寛大にされ恵みを授けられると,かれは,「主は,わたしに寛大であられます。」と言う。 16. だがかれを試み,御恵みを減らされる時は,「主はわたしを,軽視なさいます。」と言う。 17. 断じていけない。いや,あなたがたは孤児を大切にしない。 18. また貧者を養うために,互いに励まさない。 19. しかも遺産を取り上げ,強欲を欲しい尽にする。 20. またあなたがたは,法外な愛で財産を愛する。 21. 断じていけない。大地が粉々に砕かれる時, 22. 主は,列また列の天使(を従え),来臨なされる。 23. また地獄は,その日(目の当たりに)運ばれ,その日人間は反省するであろう。だが反省したとて,どうしてかれのためになろうか。 24. かれは,「ああ,わたしの(将来の)生命のために,(善行を)貯えていたならば。」と言う。 25. それでその日,誰もなし得ない程の懲罰を加えられ, 26. また誰も拘束し得ない程に束縛なされる。 27. (善行を積んだ魂に言われるであろう。)おお,安心,大悟している魂よ, 28. あなたの主に返れ,歓喜し御満悦にあずかって。 29. あなたは,わがしもべの中に入れ。 30. あなたは,わが楽園に入れ。
日本ムスリム情報事務所, 1998-2003. | ||||||||||||||||||||